2021年1月23日土曜日

第70回卒業式を行いました

10時より、体育館で、第70回卒業式を行いました。吹奏楽部の演奏するGReeeeN「星影のエール」で、卒業生が入場してきました。 今回、コロナ禍での実施に当たり、国歌、校歌、学園歌、「仰げば尊し」は、歌唱せず、演奏の静聴とするなど、発声を伴う内容は、可能な限り見合わせました。吹奏楽部も例年の生演奏ではなく、式場内に設置した大型スクリーンに、録画した演奏の映像を上映しました。
ただ、生徒さんが主役の内容(表彰、送辞、答辞、記念品贈呈など)は、例年通り実施いたしました。
まず、卒業証書と表彰状(皆勤賞、履正社高校賞、履正高鳴賞、外部表彰)をそれぞれの代表の生徒さんにお渡ししました。
続く、私の式辞、理事長の挨拶、ご来賓のご祝辞は、読み上げず、「履正だより」での掲載に代えさせていただきました。長くなりますが、以下に私の式辞を掲載させていただきます。

 保護者の皆様、お子さまの晴れのご卒業、おめでとうございます。高校時代は、長い人生のうちでも、心も体も大きく成長すると同時に、多感で不安定な時期とも言われています。しかし、保護者の皆様が 熱心に育み、導いてこられた甲斐が実り、お子さまは、とても頼もしい若人に成長いた しました。皆様方の本日のお喜びは、ひとしおのものがあろうかと拝察し、心からお祝い申し上げます。
 401名の卒業生の皆さん、改めて卒業おめでとうございます。皆さんの脳裏には、どのような思い出が去来しているでしょうか。勉学のことでしょうか。青春のエネルギーをこよなく燃やした部活動のことでしょうか。文化祭や体育祭、修学旅行など学校行事のことでしょうか。そのいずれにおいても皆さんは、見事なまでに一生懸命でした。安易に妥協することを良しとせず、懸命に自らの可能性に挑戦する姿は、輝いていました。皆さんが手にした卒業証書には、一人ひとりのたゆまぬ努力があったことは、もちろんのことですが、深い愛情をもって見守ってくださったご家族をはじめ、時には厳しく、時には熱く、そして優しく接してくださった先生方、そしてともに喜び、ともに涙した仲間、その他多くの人たちの励ましや支えがあったことを思い起こしてください。
 さて、社会は今、驚くべきスピードで変化しています。皆さんを待ち受ける時代は、かつてないほど 人類の叡智を必要としています。広く世界を見れば、国と国との、あるいは民族と民族とのやむことな い抗争。エネルギー問題、環境問題、難民問題をはじめとして、困難ではあるが解決の急がれる課題が 山積しております。翻って我が国を見れば、政治や経済をはじめ、社会の様々な分野において多くの矛 盾を抱え、従来の枠組みは、制度疲労を来たし、新たなシステムの構築が求められています。そのよう な時代であるからこそ、時代を担うリーダーとなる、皆さんの活躍に大きな期待をしつつ、餞の言葉を 贈ります。
 今、世界が解決するべき課題として、国連が定めるSDGs[Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)]があります。「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「安全な水とトイレを世界中に」などの17のゴールは、どの文化であれ、どの世代であれ、どの宗教であれ、「人間」という生物学的な種を俯瞰する立場から設定されています。私たちは、これらを達成していく過程において、立ちはだかる課題を自らの手で解決しなければなりません。そして、これから皆さんが活躍するのは、Society 5.0 と呼ばれる超スマート社会です。そこではICT機器が威力を発揮して人々や物をつなぎ、ロボットやAIが多くの仕事を代替することになって、互いの顔が見えなくなるかもしれません。
 しかし、そういった社会でこそ、人々が触れ合い、生きる力を発揮して世界と向き合うことが大切になります。世界は、資本集約型や労働力集約型から知識集約型社会に変貌しようとしています。これまでの学習は、どちらかといえば、与えられた内容を覚える、あるいはあらかじめ用意されていた一つの正解を探すという受動的なものになりがちでしたが、これからは、与えられた問題の正解を見つけるだけでなく、何が問題かを発見する力が求められます。また物事には、いろいろな見方があり、簡単には割り切れない問題がたくさん存在します。迷いながらも、それらに辛抱強く立ち向かい、自分で確認し、自分で考えて判断しなければなりません。これからの変化の激しい時代に求められるのは、自分で課題を発見し、そして、自分で解決しようとする姿勢とその力です。
 さらにこれまでは、学校という限られた空間での生活でしたが、これからは、より広い、様々な人たちとのつながりの中で、社会に貢献できる役割を担っていくことでしょう。そのためには、自分中心の考え方から、他者への配慮ができる人間になること、自分の考えを自分の言葉で分かりやすく表現し、 また相手の立場に立って、その言葉をきちんと受け止め、理解する、双方向でのコミュニケーション力が必要です。
 この二つの力こそが、私たち教職員が、皆さんに求めてきた力です。皆さんは、履正社高校での取組みで、すでに、この力の何たるかを理解し、獲得されたと信じています。今後、さらにその力を磨いていくならば、必ずやこの社会で、この日本で、そして世界で、活躍できることでしょう。皆さんに、これからの日本と世界を託します。
 保護者の皆様、立派に成長されましたお子さまのご卒業、改めて心からお祝い申し上げます。お預かりしておりました大切な大切なお子さまを、本日無事、お返しすることができ、教職員一同、これに勝る喜びはございません。この間、本校の教育活動に多大なご支援、ご協力、ご理解を賜り、誠にありがとうございました。
 卒業生の皆さん、健康に留意され、それぞれの新たな目標に向かって精進、努力され、その精進、努力が花を咲かせ、実を結ぶことを、心から願っています。私たちも、皆さんに「履正社高校出身です」 と誇りを持って言ってもらえるよう、取り組んでいきますので、履正社高校のことを、いつまでも見守っていてください。かくて卒業生の皆さんの前途が洋々たるものとなり、幸多かれと祈念して、私の餞の言葉といたします。

続いて、次第には載せておらず、予行でも秘密にするなど、全くのサプライズとして、先輩からのビデオメッセージを披露しました。これは、保護者会会長様からのアイデアで実現したものです。先輩たち、お忙しい中、心温まるメッセージをありがとうございました。
そして在校生送辞、卒業生答辞、記念品贈呈を行いました。皆さん、とても立派に自分の役割を果たしてくれました。
式の最後に、もう一つのサプライズ、3年の先生方が作成した3年間の思い出の写真のスライドショーを披露し、あっという間の1時間が終了しました。
吹奏楽部の演奏するRADWIMPS「正解」で、卒業生が退場する途中、各クラスが、ビデオカメラに向かい、保護者の皆さまに感謝のメッセージを送ってくれました。予行の時は、たどたどしいクラスもありましたが、練習してくれたのでしょう、今日はどのクラスもしっかりと感謝の気持ちを伝えてくれました。どんなメッセージを送ってくれたかは、この後、配信する映像で、ご確認ください。私も楽しみにしています。
保護者の皆さまには、ご臨席をいただけず、大変心苦しく思っております。お子さまは、本日、立派に履正社高校を巣立ってくれました。この間、本校の教育活動に多大なご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございました。心より、お礼申し上げます。
卒業式終了後の会場の撤収は、体育科の先生方と強化クラブの生徒さんが行ってくれました。こちらも厚くお礼申し上げます。