2020年7月7日火曜日

大阪私立学校人権教育研究会第1部会に出席しました

大阪私立学校人権教育研究会では、私立学校での人権教育を推進するために、様々な活動や意見交換を行っております。履正社高校は、今年度第1部会の幹事校となっております。本日、14時30分から、大阪私学会館で第1回例会が開催され、私も参加いたしました。冒頭、以下のあいさつをさせていただきました。長文となりますが、掲載させていただきます。

 皆さん、こんにちは。本日は、お忙しい中、私学人研第1部会第1回例会に、ご出席いただきありがとうございます。私は、今年度幹事校を担当させていただきます、履正社高等学校 校長 松本透と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日お集りの皆様におかれましては、自校のみならず、私立学校全体の人権教育の推進に、ご尽力いただいておりますことに敬意を表しますとともに、この場を借りまして、改めて厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございます。
 新型コロナウイルスの影響で、本来ならば、本日が、第1部会第3回例会の予定でしたが、今日からのスタートとなりました。ご挨拶させていただくにあたり、もう30年以上も前、私が学年の人権主担をしておりました時のことを思い出しておりました。1年生最初の人権HRに際して、作成した教材のタイトルが「意識と知識、そして行動」でした。このテーマには、まずは、子どもたちに、世の中の様々な出来事の中には「これは何か変だ。人権が守られていないのではないか。」と感じることがないか、自分で気付いてもらいたい。そのために、変だと思った新聞記事の紹介とその理由を、発表してもらいました。そして、その気付きを確かなものにするために、「何が変なのか」を明確に説明できるようにするために、それぞれの問題について正しい知識を持ってもらいたい。さらに、人権が守られていない事象に出会ったときには、傍観者ではなく、それを解決するための行動を取ってほしい。人権問題は、決して他人事ではない。自分の人権が守られていないことも起こる。そのときは、周りの人に相談するとともに、自分の人権を守るための行動を取ってほしい。そのような思いをこめて、作成したことを思い出しました。昨日のことは、ほとんど思い出せないのに、昔のことは、なぜかよく覚えております。教員になって初めて作った人権教材ですので、今思えば、恥ずかしい限りですが、30年経った今でも、通じるものがあるのではと思っております。
 一方、人権には、新しい課題が常に生起しております。例えば、今回の新型コロナウイルス。医療従事者やその家族、PCR検査陽性者やその関係者に対する言われなき差別や誹謗中傷とともに、いわゆる「自粛警察」として、自分の意に沿わない行動を取る人たちへの過剰な批判や誹謗中傷も、報道されております。また不登校傾向のある子どもたちには、臨時休業時の在宅学習やオンライン学習が有効であったことも報告されておりますが、一方、その間、規則正しい生活ができずに、また適切なサポートが難しかったために、分散登校や一斉登校に、うまく適応できない子どもたちも報告されております。このように、人権教育を推進するにあたっては、常に「不易と流行」に留意する必要があると考えております。
 私たち私学は、建学の精神や独自の教育理念に基づき、各校において、特色ある教育活動を展開しておりますが、人権教育は、人間が生きていく限り、すべての学校で共通の教育活動であると思います。お預かりしている大切な子どもたちに、自分の居場所があり、自尊感情や自己有用感を持てるよう、人権問題について被害者にも加害者にもならない、傍観者ではなく正しく行動できる人間になれるよう、第1部会として、皆さんとともに、力を合わせて取組みを進めてまいりたいと思います。本日の例会が実りあるものになりますことを願いまして、冒頭のあいさつといたします。何卒、よろしくお願いいたします。